Wednesday, May 06, 2009

サッカー人として海外に出ること。(2)


あちらでいくつかコメントをいただいているので、
(ここにはありませんが 笑)
もうちょっと説明不足なところを補足させていただこうかと思います。

(1)海外の定義

コメント欄1さんのように、
サッカー界で言う「海外」=ヨーロッパ&南米 シンガポールでは海外とは呼べない
とお考えの方々はたくさんいらっしゃると思います。
実際、この地に来るまでのコレナガもそう思っていました。
トップレベルのそれらを知らないわけでもありませんので。
がっかりするのかもしれないなあ、とも思っていました。

ところが、ここに来ても、やっぱりサッカーってスバラシイ!という想いが湧き起こってきたわけです。
「どうしてサッカーって世界中で愛されているのだろう」論にまで行き着いてしまうのですが、
老若男女どんな人たちにも楽しみ方がある、ということが根本としてあるんですね。
だから、ここシンガポールにはシンガポールならではの楽しみ方があると思うのです。
どこまで行ってもサッカーはサッカー。

  • リーグ戦はほぼ毎日1試合づつ開催される
  • 酷暑の中でどうやって戦うか、というテーマが毎試合必要
  • ウチのチームは全員日本人の選手なので全ての試合がアフリカ系を含む「外国人選手」との戦い

で、特に若い日本人選手がこういう経験をしておくと、
何か日本でプレー中に問題が起こったときに、
一つの事例としてこういう異次元のモノ(笑)を感覚として知っていると、
個人の中でのソリューションを比較的アレルギー無く打ち出すことができると思うんですね。

例に合わせるようにしますと、

  • 試合間隔が不定期な場合の調整方法
  • 酷暑の試合での運動量の大事さとその使い方
  • アフリカ系選手からのボールの奪い方

などなど。
こういうことは日本ではあまり頻繁に経験することはできないけれど、
今後、サッカーを続けていくのであればいつか遭遇する可能性の高いこと。
それを知っているのと知らないのではエライ違いになると思うのです。

つまり、何が言いたいのかというと、
「海外」の定義は「日本で得ることのできない経験を得ること」、
だと思うのです。
それは欧州にいても南米にいても東南アジアでも変わりません。


(2)サッカーにおけるX軸とY軸

サポティスタコメント欄2さんの言うこともよく分かります。
最新の戦術やトレーニングを学ぶのと、大会運営すら怪しい国やクラブを正常に持っていくGMとかマネージメントの勉強や経験は分けて語るべきだよね。
そもそもこの人たちは「日本はもう立ち直れないと思う」って言い切れるほど、国内で全力でやりつくしたのかってちょっと訊いてみたい。

前半部分。
最新の戦術やトレーニングを学ぶのと、大会運営すら怪しい国やクラブを正常に持っていくGMとかマネージメントの勉強や経験は分けて語るべき
その通りだと思います。

だからと言って、それら大会運営すら怪しい国やクラブを正常に持っていくGMとかマネージメントの経験は、日本に全く還元されないものではありません。
むしろ、これからの地域スポーツビジネスという枠組みの中では非常に重要になるのではないでしょうか(地域スポーツがJリーグの基本理念です)。

分かりやすい言い方をすると、
Jリーグの百年構想はトップレベルのためだけにあるものではない、
ということです。

これを仮にX軸とY軸というものに置き換えます。

X軸は、競技人口を増やしていく数値(普及)
Y軸は、競技レベルを引っ張り上げていく数値(強化)

X=0, Y=0を頂点とした二等辺三角形であることが、
バランス良くそのスポーツを伸ばしていく基礎となると思います。
Xを伸ばしつつ、Yを伸ばす。
まったくもって数値化などできるわけがありませんので、あくまでイメージですが 笑

ある程度ベースが固まっていることの多い欧州や南米諸国と違い、
ベースのない国々では根本的な(例えばリーグの)存在意義にぶつかることができます。
何のためにあるのか、だから何をしなければならないのか。
常にこれの繰り返しです。
でも、自分たちの力で立ち上がっていき成長していく感覚は何物にも代え難いモノがあります。

翻ってX軸の重要な担い手である、近年盛り上がりを見せている地域スポーツビジネス。
未だ黎明期にあたる現在では、必要な能力のメインはY軸のそれではありません。
根本を考え、立ち上がっていく力。
これを海外で経験されている方々は、その地域にとって多分ものすごい力になると思うんですね。
ソリューションという意味では言うまでもなく。

なので、日本サッカーを支える力にも、色んな種類が必要だと思うんです。
ということを改めて補足させていただきたいです。


(3)エンジョイサッカー
最後にコメント欄14さん。
(前略)
サッカーに関して行けば、J1で十分やれる日本人選手がタイリーグやインドリーグに行ってもしょうがない。
行くとしたらヨーロッパか南米、どっちかだ。その2つでないと全く新しい経験を得られることはできないだろう。(韓国リーグは違った経験を積むことはできるが、その経験が世界で通じる訳ではない。)
経営の立場から行けば、それは別だろう。ただし、シンガポールよりもヨーロッパの方が「クラブ経営」という面で行けば、勉強になるのは間違いない。(役職が全く同じという前提で)
一般的なご意見としては、まさしく仰るとおり、なのですが、
個人的には「サッカー選手の幸せ」というものは、もっと多様化すべきだと思うんですね。

現在の選手の幸せは、

  • もっと良いチームで
  • もっと高いレベルで
  • もっと良い待遇で

だと思います。

確かに、今後も最大の幸せはそれらであると思います。

ただ、前回のエントリでも書いたように、
今後サッカー選手としての門戸は大幅に狭まるような気がします。
そんな中、皆が「もっと良い待遇で」と言ったところで、現実的ではありません。

ただでさえ一握りの選手しかプロサッカー選手にはなれません。
もっともっとリラックスして、選手生活をエンジョイしても良いのではないでしょうか?

  • あの国でサッカーしてみたいなあ
  • 高校時代のときみたいに王様(主役)になりたいなあ

決して諦めてぬるい環境に行け、と言っているわけではありません。
この場合はベテラン選手が当てはまるかと思います。

国内で体をボロボロにしながら戦ってきた自分へのご褒美でもかまいません。
あるいは、言語を学んでセカンドキャリアへ生かすのも大事なことです。

中でも東南アジアをオススメしたいのは、メインストリームになれる、ということ。
日本人のJリーグクラスの選手であれば、主役級の活躍ができるでしょう。
もちろん、街のみんなも大歓迎で迎えてくれます。
日本からサッカー選手がやってきた!と。
そして、日本サッカーの伝道師として活躍してください。
素晴らしさを伝えてください。

その国のメインストリームになることで、見えてくるモノも大きく変わってきます。
なので、タイやインドに行ってもしょうがない、とは決して思わないです。
欧州や南米では実際問題、主役になれるとは限りませんし…。


この世知辛い世の中、これまでの世間一般の評価対象であった
「お金」や「世間体」のためではなく、
「どれだけ人生をエンジョイできるか」
という観点で一生を過ごすのもアリなんじゃないだろうかと思うわけです。
サッカー選手も、然り。


どうですか、海外。


【補足】
で、こういう流れができあがれば、日本サッカーに色んなヒトが増えてきて、
物事に対する考え方の多様性が生まれてくるわけで。
そうなったら、もっと面白いサッカー界になるのでは、と思うのです。
(今も結構面白いですよー。いや、フォローじゃなく。)

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