Thursday, July 09, 2009

プレイバック戦国時代。

いきなり極論すると、サッカークラブは生活必需品ではない。
(このエントリでは「サッカークラブ」と「スポーツクラブ」を同義とさせていただく)

「サッカーを中心に生活しています」
「サッカーなしでは生きられない!」
という方々はたくさんいらっしゃるけれど(かく言う自分も間違いなく当てはまる…)、
実際にサッカーが無くなって生命を失う人は(ほぼ)いない。
(ブラジルではセレソンが負けると心臓マヒで命を落としてしまう人もいるけれど、
全体観では例外に加えなければならない。)

サービスとしての形は違うが、サッカー自体はコーヒーやタバコと同じ類の嗜好品と言える。
(とりわけタバコとは、禁断症状が出るという点でも似通っている 笑)

逆説的に言うと、必需品でないからこそ、
サッカークラブが「その場所にある意味」を
周囲の人が感じてくれる活動を継続的に行っていかなければならない。
それこそがサッカークラブにとっての企業努力だ。

折からの不況によってサッカークラブを取り巻く環境は非常に厳しくなっている。
企業からしてみれば「まず最初に切るコスト」だから。
広告宣伝費としての直接的な費用対効果としては
基本的には褒められる部類ではないし、
そもそもその広告宣伝費すら削減の一途を辿っている。

厳しいのはどのクラブも例外ではない。
企業に支えられているJリーグのクラブはもちろん、ヨーロッパのクラブも。
個人会員に支えられている草の根のクラブも、
ターゲット消費者の貯蓄高の減少と志向の変化(お金を使いたくない!)の中、
安穏とはしていられないはずだ。

しかし、何故、JFL以下地域リーグを含めた多数のサッカークラブが、
経営的に厳しいのを承知の上でJリーグ参入を狙っているのか。
単純に言えば、「町おこし」としての価値は未だに高く、
自治体がそれを望んでいるケースが多いからだ。

今後、少子化が進むとはいえ、
不況と制度改革によるとりわけ若者たちの貯蓄高の減少と、
ITインフラの飛躍的な向上で、
多くの人間たちの「上京」に対するプライオリティが下がる可能性がある。
あるいは物理的に大都市に住めない若者たちが増える可能性もある。
必然的に若者たちは「ふるさと」に残る。
自治体は自分の地域を潤すためにも、この若者たちを活性化させなくてはならない。

すると、地域の中でお金を落とす仕組みを作らなくてはならない、という話になる。
できれば、多数の住民から支持を得て、少額を広範囲から嫌みなく集める仕組み。
サッカークラブはその意味で非常に価値がある。
ご存じのように観戦チケット代やサポータークラブなどの類は、
例に挙げると「海外旅行」や「ゴルフ」などといった他の趣味に比べても
コストをかけずに楽しむことができる(場合によってはストレスも… 笑)。

そして、副産物として健康促進や治安向上にもつながる例もこれまでにはある。
あるいはその地域だけでなく周辺地域からも注目(金銭面でも)を集める。
結果、地域が潤う。

さらに潤った地域が人を呼び、楽しんだ人が多数集まれば、それは企業を呼ぶ。
結果、サッカークラブは存続し、拡大する。
Jリーグの理念である「地域スポーツクラブ」の概念は、
トップレベルだけでなく草の根レベルでも至極真っ当に当てはまる。

だから、サッカークラブは地域のフラッグシップになり得る。
自治体としては放ってはけない案件だろう。


で、このニュース。

au、サッカーチーム「サガン鳥栖」専用のナカチェンパックを8月7日に発売(CNET JAPAN)


「ケータイの中身をお気に入りのクラブのデザインにしよう」
という、従来にもありがちな企画ではあるのだけれど、
「地域コミュニティ」や「おでかけ・グルメ情報」などのコンテンツが目をひく。

ものすごく驕った言い方をすると、
この地域サービスをIT企業が主体として進めるのではなく
(バックグラウンドでは当然IT企業の参画は必要だけれど)、
サッカークラブがバイパスとなることで圧倒的に感じが良くなる。
なんか、イヤらしくないのである。
(当然、クラブからすればスポンサーメリットを加えたいという欲求もあるだろうけれど)

クラブが必要としているのは「地域のために活動していますよ」というお題目。
当然、今までの方向性でもそれと相違はないのだけれど、
この鳥栖のケースはITと地域の関わり方を含めて正常進化というか、
これからのあるべき姿だと感じる。


ちなみに全然関係ないけれど、コレナガは道州制に賛成だ。
捉えられ方によっては圧倒的にミーハー臭が漂うが、
地域同士のライバル心がさらに高まりを見せ、試合が面白くなるに違いないから。
(これ、サッカーファンにとっては堪えられないと思う)

道州制を進めて行くに当たり地域ごとの特色として、
スポーツクラブに対する法人税率を一般企業と差別化する地域も出てくるかもしれない。
あるいは選手の所得税を減税して、
良い選手を集める戦略をとる地域が出てくるかもしれない。
(これはさすがにやりすぎか…)

個人的なバーチャル感覚では道州制は「プレイバック戦国時代」であり、
サッカークラブ同士の対戦に様々な影響を与えることは必至。
サッカークラブの企業としての戦略もさらに緻密に、そして多岐に渡っていくだろう。
つまり、クラブではなく地域が率先して「クラブのある意味」を作り出すということ。

そうすれば、いちファンとしても「川中島決戦」とか「関ヶ原の戦い」に、
様々なバックグラウンドを加えることができて、
もっと色んな角度から楽しむことができると思うのである。

いずれにしてもサッカークラブを中心として、
各地域が異様な高揚感とエネルギーで包まれるようになれば、
残念ながら先行きのあんまり明るくない日本の復活は「まだある」、と思うのです。


道州制で日はまた昇るか―地方分権から市民主権へ
道州制で日はまた昇るか―地方分権から市民主権へ道州制.com

おすすめ平均
starsこの本はすげぇぞ!
stars熱いです
stars道州制の現状を知るに良書
stars恋をしたようです。
starsかたよらず、わかりやすくて、元気ももらえる

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

No comments:

Post a Comment