Thursday, December 24, 2009

隣の芝は赤い、かも。

ここ何年かで人々の価値観が変わったことを痛切に感じている。
価値観というものは「情報」という言葉に置き換えられると思う。
  • ○○がこう言っていた
  • ××がこう思っていた
自分自身ではなく、他者との比較の中で生まれてくるのが価値観だ。

最もわかりやすいのがクルマなので例に挙げさせてもらう。

1~1.5世代前の若者にとってクルマというツールは非常に大きな価値があった。
日本国内で周囲と競争しながら、
かつ、周囲と協力しながら時間が流れた高度経済成長時代。
当然のように他者との比較は活発に行われた。
比較をすることで成長した時代だったからだ。

「いつかはクラウン」という言葉は、当時頻繁に使われたらしい。
他者との比較が非常に重要だったから、
パッと見て判別できる(される)クルマは価値のあるツールだった。
それが少し経つとさらなる情報が欲求を生み、本物志向が熟成されていって、
一般市民の最上級がメルセデスになってたりしたわけだ。

実際に大衆車と高級車の価格分の「走りの差」を感じる方々は
高級車の購入者にもそんなにいないだろうと思うのだけれど、
したり顔で「実はこのクルマはね…」と言いたくなる気持ちはとてもよく分かる。
それが「価値」という時代は確かにあった。

ところが現在は猫も杓子もプリウス、である。
なぜならばそこに「世界最高の燃費性能」という情報があるから。
「プリウスを持つ」ということが他者に対する情報発信なのだ。
でも、燃油価格差を埋めるのには10年くらいかかるはずで、
実質的にはファッションでしかない。
一般大衆にも手の届く金額なので、
「クルマ買わなきゃいけないな。減税もあるし、とりあえずプリウス。イメージも悪くないでしょ」
というような消極的な選択にも対応している。
というか、こちらが主流派だと何となく感じる。

ついでに言えば、プリウスという情報は「環境」というキーワードに対する
ポジティブな選択とイコールなので、
台数が増えれば何となくの連帯感が生まれてきて、客が客を呼んでいる。
だからそのモノ自身というよりも、情報が作り出したムーブメントの代表だと思う。
(かと言ってモノが悪いとかそういう意味ではないし、
ここでも言っているようにそれこそが価値観だ)

そして、こういう傾向は日本人だけに言えることではなく、
世界を通じても圧倒的に増加していると思う。
モノに興味を示さない人間が増えてきたということ。
それはきっと、比較すべき他者が圧倒的に増加したからに他ならない。

この現象は全ての情報を距離に関係なく均一化させた、
インターネットの生んだ偉大な文明改革だと思う。
比較対象が近所の人間しかいなかったのが、
PCを立ち上げれば世界何十億人の人間とつながるようになった。
Facebookでは誰がいつ何をしているのかも瞬時に分かる。
Twitterも然り、である。
だから隣の芝は青いと思っていたのに、
世界中を眺めてみたら赤かったり黄色かったりして、ビックリ。
それで芝生の色なんてどうでもよくなってきてしまった、みたいなことが起こっている。

これってインターネットによって西洋物質文明から東洋精神文明にシフトした、
みたいなことなのかもしれない。
古来から精神文明に慣れ親しんできた我々日本人にとっては、
世界に対して何かをアピールできるはずの、なかなか面白い時代になってきたとも思う。
では、世界に対して何をセールスするのか。
現段階では無形文化財と言うべき様々な具象を物質化して世界へと販売している。
その最たる例がアニメやマンガだ。
言うに及ばず、大成功である。
さすがは、ニッポン。
続くモノもきっとすぐに現れるだろう。


不況になると文化やスポーツといったものは最初に切り離されてしまう。
けれどもこのインターネット時代、文化やスポーツにこそ大きな爆発力があるのではないか、
と毎日希望を持ちながら考えているのだが、さて。


そして何より、サッカープレイヤーたちへ。
多様な価値観を持った現在は、日本代表だけが全てではない(と、言い切れる)。
むしろ、サッカーという自身のツールを使って様々な経験をした方が、
後々の人生を考えたときに素晴らしく有効だと思う。
それがオリジナルでパイオニアであれば、なおさら。


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