Monday, May 31, 2010

盛り上がってきた!

前を向いて少ないパスで時間をかけない攻撃。
シンプルに、ソリッドに。
たとえ1.5軍とはいえ、世界の一流国を慌てさせることもできることがよく分かった。
それがイングランド戦での収穫だ。

韓国戦後、長谷部が中心となって選手だけが集まった緊急MTG。
闘莉王が「オレたちは下手くそなんだから、もっと泥臭くやらないと
とひたすら繰り返したという。
その結果、あのような試合を見せてくれた。
前回のエントリでも書いたけど、サッカーは相手があるもの。
現在の日本代表の位置は、やりたいことをやってそのまま勝利できるようなレベルにはない。

アジア予選では無双かもしれないけれど、
W杯本番ではそれこそアジア予選で対戦相手がやっていた、
少ないチャンスを生かすサッカーへと転換しなくてはならない。

そしてイングランド戦では90分を通してその戦い方の転換、揺るぎない気持ちをプレーから感じた。
こんな代表久しぶりだなー、と。
たかだか親善試合だし前回のW杯直前のドイツ戦と同じ、みたいな声もあるだろうけど、
それでも誇りに思える日本代表が帰ってきたことは素直に飛び上がるほど嬉しい。

繰り返すけど、まだ本番ではない。
まあでも、本番じゃなくて良かった。
先制しておいてオウンゴール2発で沈むみたいな本番だったら、しばらく立ち直れない。

本田は右サイドというよりも中央の方がいい。
守備に忙殺されるのとゴールまでの距離が遠いと持ち味を発揮できない。
ほぼ空気となっていた前半から後半に入って中央よりにポジションを移したことで、
決定的なパス、シュートが頻発するようになった。
組織的な守備はあんまり得意じゃないだけに、
あんまり余計な負担のない1トップ下くらいがいいと思われ。
「違い」を出せる選手はゴール近くに。
これ、やっぱり基本だと思うのです。

ただ一点だけ気になった。
選手交代まで本番想定で最後までやり切 るのであれば、
ロスタイムの横パス回し中に試合が終わるのとか猛省していただきたい。


視聴率も後半は23%だったそうで。
こりゃ、いよいよ盛り上がってきた!

Thursday, May 27, 2010

何のためにサッカーをするんだろう?

日韓戦を終えてにわかにワールドカップが盛り上がってきているのを感じる。
海を挟んでもネットなどで日本代表の話題が毎日モリモリ出てくるのを感じることができて嬉しい。
たとえその理由が日韓戦での(一般的に、そしてスコア的には)ショッキングな敗戦だったとしても、
いよいよ日本人のマジョリティにも当事者意識が芽生えてきたのかなあ、などと思っている。
「好意」の反対は「無関心」。
そういう意味では色んなところから声が上がってきたことは、
素直に歓迎すべきことなんじゃないかなあ、とも思う。

さて突然だけれど、今の日本代表を見ていると、
「何のためにサッカーをしているんだろう」、と考えることがある。
コレナガ個人としてはいちサッカークラブを預からせてもらって3シーズン目。
これまでも何度もこの問題で悩んだことがあった。
結論、当たり前だけどサッカーは「勝つため」にやるもんだと確信した。
どんなに非現実的な理想論や空想論を語っていても、最終的にはここに帰結する。

コレナガの立場としては一般的なサッカーファンよりもシビアに結果が求められるので、
少々「勝利」への欲望度合いは強いと思うのだけれど、
勝たないと何もかもが継続できないのは痛いほど実感している。
ビジネス上のモロモロはもちろん、選手たちのモチベーションも彼らの次へのステップも含めて。
そりゃ確かに「良い試合だった」、「次につながる」なんて言葉は
とりわけ「努力=結果」とは言い切れないスポーツの世界なので当然あって然るべきかとも思うのだが、
そのどことなく責任をぼかしているような甘ーい言葉たちも、以降の勝利へと確実につながっている。
つまり、勝つために良い試合をしたのだし、勝つために次につなげた、と言い換えられる。

もちろん、サッカーは叙情的な一面が強いスポーツだ。
閃きからのパス、高い身体能力を生かしたドリブル、嗅覚を全面に押し出したシュート。
美しいモノは美しい。
「同じゴールは一つとしてない」からこそ、一瞬のきらめきがはかなく輝く。
結果とは別の部分で評価される場合も多々ある。
しかしだからこそ、美しく、そして同時に、結果を出すことが最高に評価されるのではないだろうか。

ただ一方、それってそんなに簡単なことではない。
美しく(これが国民性による主観の違いもあるのでさらにややこしい)
勝つのが一番嬉しいし楽しいに決まっているんだけど、
クライフ信望者のコレナガも当然そう思っているんだけど、
それってそんなに簡単でないことはみんな分かっている。
(イタリアは「勝利=美しい」、みたいなある意味羨ましい国民性…)

でも実際はバルサ、マンUみたいなサッカーができるのは世界の一握りしかチームしかない。
ユーロ2008のスペインだって勝ったから良かったものの、
これでGL敗退なんてしていたら「あのサッカーは大失敗」ということになっていたかもしれない。
スペインのスゴイところは「勝つため」にあのサッカーをやりきって、「勝った」というところだ。
だから素晴らしい評価へとつながっている。

翻って日本代表。
あくまで
・ワールドカップに出場できることが当たり前、
・グループリーグ突破ができるかどうか怪しい
という設定の上での、極論。
1)日本人の好きそうな美しい(これも主観)パス回しや高い技術をピッチに散りばめて、GL敗退。
2)どん引きカウンターだろうが何だろうがリアリスティックなサッカーを見せて、ベスト16進出。
単純に言えば、これ、日本人にとってどっちが幸せなんだろうか、という話。
その答えが冒頭の「何のためにサッカーをするんだろう?」という議論。

もしかしたら設定の基準が適切ではないかもしれない。
例えば1)で「ワールドカップに出れなかったら」、がくっついた場合、
アンケート結果は大きく変わるのだろう。

ただ間違いなく言えることは、この選択がサッカーの将来に大きく影響してくるということ。
仕組みの話だが、当然強ければ強いほど(景気がスポーツを左右するという話は置いておいて)、
そのスポーツには耳目が集まり、ヒトが集まり、結果としてカネが集まる。
そうすればさらなる高みを目指して資金を投入できる余裕へとつながり、
最終的には魅力あるサッカーを展開して勝つ、
という理想的なスパイラルを形成していく「可能性」がある。

だが、1)を選択してあっさりと負けてしまった場合、
例え素晴らしいサッカーを見せて「良いサッカーしたよね」、「内容は抜群だった!」
そんなもんサッカーファンにしか分からん、というオチが待っている。
これではスポンサーさんもよく分からんので集まらないし、
結果としてサッカーファン以外の日本人のマジョリティはサッカーへは集まってこない。
だからカネも集まらない。

2)を選択した場合。
日本が圧倒しているアジア予選でたまにコロっとやられたりするのがこのパターンだ。
これを選んで急激にレベルが変わるわけもないのだが、
少なくても勝利する可能性は高まると思っている。


今さらながらまとめると、
「こういうサッカーがいいよね」
「日本人の国民性に合うスタイルってこうだよね」論の前に、
現在の日本代表の世界でのポジションってどれくらいなんだろう、って考えなければならない。
なぜなら、サッカーは相手があるスポーツだから。
そして現在はサッカー先進国ではない日本は、
まだまだ何としてでも勝利を目指さなくてはならない時期だと確信している。
聞き心地の良いオシャレな戦術論を語っているタイミングではない。
アトランタ五輪でのブラジル戦のように、
選手一人一人がシャツを泥だらけにしてぶっ倒されながらも何度も何度も相手に向かっていく気持ち。
それを出し切った上で、勝てるかどうか。
今の日本はそういうレベルだと思っている。

岡田監督の目標、多少一人歩きしている感はあるけれど「ベスト4」。
大いに結構だと思うし、応援したい。
しかし、本当にベスト4に行きたいのであれば、そういうサッカーをすべきだ。
サッカーで最も点が取れる可能性が高いのは「速攻」。
(これ、データでも出ていること)
どん引きカウンターで上手いこと点が取れればラッキーというスタイルであれば、
ベスト4進出の可能性はある、と思っている。
(上記アトランタ五輪のブラジル戦をトーナメントの最中に何度か繰り返すということ)

しかし、である。
例え全力で応援しているつもりでも、今の中途半端なスタイルでは厳しい、
と心のどこかでは思ってしまう。
パスを増やせば増やすほどリスクが増えているのが現状だしなあ。
うーん。

岡田監督は横浜Mでもかなりリアリスティックなサッカーをしていた印象があるから、
やってやれないことはないと思うんだが。

とにかく、
国と国との戦いの場であるワールドカップに臨む日本代表であれば、
「何のためにサッカーをしているのか」を意識し、
結果としてよりいっそう勝利を求めて戦って欲しいものだ、とは思う。


で、オチとして。
こんな本があった。

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Tuesday, May 25, 2010

サッカーってそんなに難しいスポーツじゃない。

韓国戦は別にショックでも何でもなくて、
ただ単に当たり前の実力の違いがスコアに反映されただけの話で。
今さらながらヒステリックな反応をするのは性に合わないし、おかしいと思う。

表題のとおり、サッカーってそんなに難しいとは思わないんですね。
相手のゴールにボールを入れて、自陣のゴールにボールを入れられないこと。
そして、相手があるスポーツだということ。
そのルールに則った「勝利」への最短距離を走ればいいと思うんですね。
で、ここで肝心なのは、日本が最短距離を走れていないこと。

同じ人間なのでその他の国々と比較して運動能力自体に大きな差はないと思っています。
玉田ってかなりスゴイらしいですね。
そりゃ確かにドログバみたいにスゴイアフリカ人もいますが、
それで勝てるんだったらワールドカップはずーっとアフリカが勝って然るべし。
根本的な問題はそこではない。
サッカーという競技に臨む「姿勢」の問題だと思っています。

こないだのUstでも少し話をしましたが、
シャルケのユースでは試合中のハーフタイム、選手たちにある表を見せるそうです。
それが「1対1勝敗表」。
サッカーは1対1の積み重ねである、というドイツの考え方。

日本はそもそも若いうちから「組織」を教えすぎてしまっている傾向があります。
サッカーは11人対11人なんだよーと教えられてきて、
いきなり1対1を始めろって言ったってそりゃムリってもんです。
極論を承知で言うと、こんなことで悩んでいるのは日本だけだと思うんです。

森本くんに「国々でサッカーは違うんです!」なんてまた言われてしまいそうだけど、
(その後の「モンゴルのサッカーはオフサイドも知らないんですよ!」で、あ、これ違う、って思ったw)
残念ながら、日本サッカーはガラパゴス。
世界のスタンダードから外れている。
(外れていても優勝できればそれが正解なんだろうけど、それで勝てないということは不正解)
そして、少なくとも東南アジアは世界のスタンダードに乗っている。

これ、育成年代の問題。

縦に勝負させて、負けたら何で負けたか考えるし、その理由が分かる。
組織で戦うことを義務づけて横パス、後ろパスで逃げたら、そこのあたりの責任がぼんやりしてしまう。
そういうチャレンジをもっと若いうちからさせなくては。
それが日本国内でできないのであれば、
たくさんの才能は海外に出て勝負していただきたい。

こないだ代表の練習を見に行ったとき、
たまたまお会いした原さんと立ち話してたら同じようなことを言っていて驚いた。
「今色々やってるけど、ダメだったらシンガポールで雇ってな」
って最後に仰ってましたが 笑


いずれにしても日本の子どもたちは、
本当に世界有数のボールコントロール技術を持っていると思う。
生かすも殺すも若いうちの指導次第だと思うんですよね。


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Monday, May 24, 2010

映画 レフェリー。



映画「レフェリー」をUst企画の当日の昼、観てきた。
学生時代の濃い時間を思い出すような芝居小屋的な単館上映。
70人くらいのお客さんがギュウギュウに詰めて観ていたのだが、
サッカー関係者の姿は意外に少ないような気がした。
よく考えたら同じ時間帯にナビスコカップやってたんだね。
偶然公開初日でたまたま観に行った15:00の回には上川徹さんのトークショーがあって、
ウチのクラブでいつも判定に悩まされているコレナガとしても非常に興味深い話だった。

結論から言うと、サッカーファン全員に観てもらいたい、と思えるようなクオリティ。
とりわけ「6月の勝利の歌を忘れない」が好きな人は観るべし。
審判だけでなく、ウチの選手にも見せたいなあ、と思った。
(J Sportsさん、DVD化よろしくお願いします)

舞台はユーロ2008。
始まるといきなり、会場へ到着する審判団を乗せたワンボックスカー。
緊張と興奮がこっちにも移ってくるみたいな気になる。
実際に現場で笛を吹く審判団と審判委員長とのそれぞれの立場での葛藤や、
先日のCLファイナルの笛を吹いた(寝てただろ、という突っ込みはさておき)
ハワード・ウェブの自分の判定への苦悩とか家族からの支えなんかも
素晴らしいドキュメンタリータッチで描かれていて、
全体的には淡々としているんだけど観ているこっちはウルウルするシーンが続出。
サッカーって素晴らしいですねぇ。

淡々としているとは言いながらも、
前述のハワード・ウェブへの「脅迫」なんかも事件としてはかなり大きいわけで、
よく考えれば映画化を前提にカメラが深く入っていったわけで、
逆に言えば必ず「何かが起こる」ことを想定していたということ。
それだけ日常的に「判定」というものが結果やドラマに大きく関わっているということ。
当たり前のようなこの事実を確認できただけでも、とっても良い時間でした。

この映画のイブ・イノン監督は
「私はかつて誰も目を向けなかったものに対して目を向けたかったのです。」
と概論的なコメントだけど、
サッカーを深く知っていなければ作れない作品だろうなあ。

東京、愛知、福岡での上映は決まっているようなので、
近隣に住んでいる方は是非。

Sunday, May 23, 2010

Ustream放送。

昨晩22:30くらいから朝方までUstream放送を終え、実家に帰宅しました。
二日酔い。

この企画、思えば2010年3月27日のこのつぶやきが発端でした。
どうやらみんなUstをやりたがっていた&何か喋りたがっていたようで、我も我も、と。
「協力したい!」という人も次から次へと出現。
そして、誰もが不思議と自然体で接することができるから最も適任だ、と勝手に思っていた
東邦出版の中林くんには会場(自宅)を快く提供していただき、
奥様に素敵な手料理(煮卵バツグンでした!)を振る舞っていただきました。

始まる前は
「ネタどうしようかなー」
とか
「ケンカにならないようになー」
とか
色々心配事はありましたが、始まってみればいつものようなただの呑み会でしたw
相変わらず素敵な皆々様。

敏腕代理人田邊さんに「送ってください」と要求しておいて送ってくれたメールをスルーしたり、
たくさんの方々がハッシュタグで絡んでいただいていたのに全く触れなかったり、
何よりCL開始前にベランダで寝るという痴態(その後起きず)。

ハッシュタグで検索すると、
是さんまだ寝るんかーい!!
起きた!起きた(笑
是永カメラ最高過ぎるwww
などなど、撮られていたことも当然知らずに、アホかと。


でも、これに懲りずに皆さん、第二回やりましょうね。

Friday, May 14, 2010

朝まで「生」サッカー勝手に語ります。

以前Twitterでもつぶやいたのだけれど、
Ustreamで、朝まで「生」サッカー勝手に語ります、企画やります。



5月22日(土) 22:30~(タイトルどおり朝まで)
サッカーメディア界の若き奇才「中林良輔」宅に無理矢理お邪魔して、
酒を呑みながらダラダラと熱くサッカーを語るカタルシス(意味不明)。
「誰得?」な気分満載でお届けします 笑

出演メンバーは思春期にJリーグが開幕した主に30代の皆さん。
各方面で大活躍されているアクの強い方々が揃っていますので、
エッジの効いたトークセッションになるはずです。

主に2010W杯のことになると思うんですが、
その他リアルタイムでのお便り紹介とか、コンテンツ的にはPodcastに近いかもしれないです。
チャンピオンズファイナルの「勝手に副音声」も叱られない範囲でやる予定です。
一応、進行表作ってますが、アテにならないメンバーです 笑

で、あと4人くらいはキャパシティがあるそうなので、
いつかTwitter経由で「我も我も」と返信いただいた皆さま、
改めましてご連絡いただけましたらと思います。
(Blogのプロフィール欄にメールアドレス載ってます)。
ネタによってはセッションに参加できるかどうかは分かりませんが、
家主が隣の部屋でウイイレ大会なども予定しているそうです 笑
そしてそして、奥様が素敵な手料理をふるまっていただけるそうです。
嬉しい。


詳しいことはまたここで書きます。

Monday, May 03, 2010

インドネシアサッカー漫遊記。



この4月、2回ほどインドネシアへサッカーを観に行った。
「観客が数万単位でいる」とか「ファンはみんな熱狂的だ」とか聞けば、
いちサッカーファンとしても黙ってはいられぬ。

そもそもアルビレックス・シンガポールは「日本とアジアの架け橋」という理念を掲げており、
こと選手に関しては「育成し活躍の場を与え、ここから旅立たせる」という流れを重要と捉えている。

昨年ウチのクラブから内田宝寿、足立原健二という2名の選手がインドネシアへと移籍した。
インドネシアへ直接移籍する初めてのケースだった。
両者ともにリーグ戦での活躍が認められてのオファーだったということもあり、
リーグ戦途中ながらクラブとして移籍を認めた。

「試合観に行くから」
と約束した手前…、というのもあるが、
何より今後クラブの供給先になるかもしれない国の事情をもっと知らねばいかん、と。

脱線するが、2億4000万の人口を抱えるインドネシアは、
今後20年くらいはビジネス上でも大きな意味を持つ国になる。
内需パワーが今後も増大していくので、東南アジアで最も爆発力を持つ国であることは間違いない。
そういう意味でも知っておく必要がある。

内田は熱狂的なファンが数多く存在するインドネシア第二の都市スラバヤ。
足立原はインドネシアでアウェイチームが最も厳しい環境だと言われている(辺鄙なので…)、
東カリマンタン島の港町ボンタン。
おあつらえ向きに二人の選手がともに振れ幅が大きな特徴あるクラブ(そして都市)に在籍してくれているため、
視察としてはムチャクチャ意義深かった。
二人は色々助けてくれたり案内してくれたり、しかも試合に勝ってくれたり。
本当にありがとうございました。
(そして、スラバヤでは日本人の皆さまに大変お世話になりました。ありがとうございました)

ちなみに恥ずかしながらコレナガは初めてのインドネシア。
飛行機で2時間程度の距離なのに。
近くて遠いとはこのことか。


◆スラバヤ編
インドネシア第二の都市、スラバヤ。
「日本で言えば、大阪」という言葉を借りれば分かりやすいのだが、やたらと熱い。
そんな街にある今年2部リーグから昇格したペルセバヤ・スラバヤ。
熱狂的なファンが多くインドネシア有数の人気チームであるというのも頷ける。

新聞では毎日クラブが取り上げられる(まるでデ○リースポーツのようだ!)。
選手がこう喋ったとか、練習の様子だとか、なんだかよく分からない噂、とか。
どうやらTV中継の頻度も他チームに比べてもかなり多いらしい。
兎にも角にも、人気チームである。

試合会場で見かけたサポーターの多くは意外なことに「少年たち」だった。
観戦した試合は平日の昼間に行われたのだが、
中学生ほどに見える彼らは、
わずか20,000ルピア(約200円)ほどの入場料を支払うことを拒み(もしくは支払えずに)、
柵を乗り越えたり網を破ったりしながらスタジアムへ堂々と「侵入」する。
さらに、できればもっと良いところへ、ということでVIP席にも網を破って「侵入」してくる。
徐々にスタジアムが無法地帯になっていく。

試合開始30分前。
35,000人収容のGelora 10 Novemberスタジアム(完成した日だか、首長の記念日だったか…)の
バックスタンドを見やると、いつの間にか上半身裸の大応援団が整っていた。
上半身裸のサポーターたちがコールリーダーに合わせて
腕を上下左右に激しく振りながら統制のとれた声援を送る。
見とれてしまうほど、壮観。
スゴイスゴイとは聞いていたけれど、これほどまでとは。

【はい、上に~】


【はい、横に~】


余談だが帰りの車中で、小さな(おそらく軽)トラックの荷台に、
20人くらい乗っているサポーターの少年たちを見た。
驚くべきことに彼らは「勝手に」乗っているようで、適当な場所に着いたら「勝手に」降りるようだ。
ドライバーも彼らが凶暴なため(クルマに何されるかわかったもんじゃない)、
とりあえずおとなしく乗せてしまっているようだ。

同行してくださった日本人の方が、
「一人一人は悪くないんですけどね。この国の人たちは群集心理が凄まじい。集まると急に強気になるんです。向こうが二人でこっちが一人くらいだと何にもしてこないんですけど、向こうが三人になった途端殴りかかってきます 笑」
と冗談交じりに言っていた。

さらに、「学校はどうしたんでしょうね?」尋ねると、
「行ってないんじゃないですか。特に試合の日は行かないんじゃないですかね」とのこと。
外務省のHPにインドネシアの就学状況が載っている
中学生は一応、義務教育であるはずだが…。
(繰り返すが、この日の試合は平日の昼間に行われている…)

このサポーター(なのかどうなのかもはや怪しいところだが…)たちの狼藉話は枚挙に暇がない。
試合当日も朝から250人くらいのサポーターがスタジアムの前で「金がない!」と強請りを行う。
先日の試合ではアウェイのサポーターが多数で列車に無賃乗車。
スラバヤのサポーターがその彼らに投石をして死傷者も出たという。
悲しいが、まだインドネシアの実情はこうなのである。

そんな環境で内田はスター選手として迎えられている。
スタジアムでは「タカ!タカ!」という声が、
日本人的な身なりをしているコレナガに向けてあちらこちらから浴びせられる。

【試合開始前、バスの到着を待ち…】


【内田宝寿が出てくると、大歓声。】


【逞しくなった内田のプレー】


【試合後はピッチに降りてきたファンと撮影】


試合は3-2と逆転勝利したものの試合後に内田が話してくれたように、
「酷かったですねー」という内容。
スラバヤも降格争い中、そして対戦相手は最下位ということもあったのか、
典型的な縦ポンサッカーが90分間続き、
話に聞いていたような「高い個人技」などはお目にかかることができなかった。
「(イスラム教の色が濃いため)毎朝6:30から練習開始です」というトレーニングの成果か、
フィジカルの強さは目についたのだけれど。

【試合終了後はスクーターで大移動。】





◆ボンタン編
噂に違わず、何もない町だった。
シンガポールからバリクパパンへ2時間30分程度のフライト。
そこから5時間のドライブ。
このドライブがコレナガ史上最高に大変だった。
(高速道路があると勝手に思い込んでいたため、余計に衝撃が大きかった)

道路の大部分が舗装されているのだが、日本のそれをイメージしないでいただきたい。
「何となくコンクリートを流し込んでみました」という程度なので基本的にボコボコとしており、
平坦な道でもかなりの上下動を感じる。
さらにほとんどの箇所が、過酷な山道である。
カーブの連続、下り終えれば登り、登り終えれば下り。
真っ直ぐな道がほとんどない。
さらに両脇に街灯などあるわけもなく、
ドライバーがふっとハンドル操作を誤れば簡単にジャングルの崖下に落ちれる。
(急いでるだろうからと、ありがたいことに気を利かせて)80km/h~100km/hで疾走するタクシーの中で
内容物がピンボールのように上下する胃を抑えながら、
カーブの途中で対向車が突っ込んで来ないことを必死で祈っていた。

Mulawarmanスタジアムは12,000人収容ということで他のクラブの器より小さいのだが、
他に娯楽がないからのか、小さな町の興味はここに集中する。
スラバヤに比べてファミリー層が圧倒的に多く、
ジャッジに不満なファンがモノを投げ込むとかはまあまああるのだが、
危害にさらされるような香りはしない。

【会場の外から試合を見守る】


【ヨーロッパの小さな町にあるスタジアムと雰囲気が似ているなあ】


足立原は相変わらずのクイックネスでこの日も2ゴールを奪い、得点ランキングの上位につけた。
両サイドをきっちりと使いながら激しく上下動するサッカーは非常に興味深く、
中位のチーム相手に危なげなく4-1で勝利した。
ちなみにこの日は同じチームに菊池完、対戦相手に小森田友明と、
3人の日本人選手が同じピッチに立っていた。
この流れは加速するはずだ。

【両袖にはカリマンタンの伝統的なデザインが入っています】


足立原に「どうしてそんなに点が取れるんだろうね」と改めて聞いてみたら、
「そうなんですよね。何がスゴイか自分でも分からないんですけど、集中力はついてきたような…」
なるほど。
確かにウチにいたときもトレーニングではからきしダメそうなときも、
いざ試合が始まると素晴らしいシュートを次々と決めていた。
選手にも色んなタイプがいて面白い。

さて、試合翌日に足立原が町を案内してくれた。
「ここにはあんまり来たくないんですけど…、見てみます?」
というので、町に2、3カ所あるスーパーマーケットの一つに入った。
巨大なという修飾語のつかない、一般的な「西友」の大きさをイメージしていただきたい。

入ると早速「ケンジ!ケンジ!」と何人もの店員から声をかけられていた。
おお、と驚いていると、
「ここなんですけど…」と指さす先に、「KENJI」ブランドが!
何と、この町のオーナーである市長が「お前のために作ったんだ!」というまさかのブランド。
タグを見るとKENJIと書いてあるのはその半数以下だったが、そのあたりはご愛敬か。

【ボンタン限定?KENJIブランド】


ほおお、と見とれていると、館内放送で「○※▲×○、ケンジー!」と流れ始めた。
どうやら足立原がやってきたのを知って「ケンジが来店中ですよ」みたいなことをアナウンスしているようだ。
シャイな彼は「コメントしろってお願いされるときもあるんです…」と言いながらそそくさと店を出た。

一般の人たちの数十倍のお金を稼ぐサッカー選手は大スターの扱いだ。
特にこの町では他に娯楽がない(しつこい?)ということもあって、誰もが知る有名人なのだろう。

おまけ【ボンタンの町には何故かマーライオンが!】




さて、選手個人の待遇へと話を移す。
サラリーは、高い。
Jリーグでくすぶっているくらいならインドネシアの方がたくさんもらえることはまず間違いない。
が、その分環境は過酷である。
とりわけ大変そうなのが、リーグそしてチームのマネジメントの部分だ。
(インドネシアだけでなく世界中の多くの国がこの問題をはらんでいることと思う が)
とりわけ彼の国は「背後」にある存在があまりにも大きいので、
選手にできることが限られてしまうような印象を受けた。
書くことすら憚られるのだが、周辺の話を聞くことによって色んなことが分かったので書いて みる。
(どこまで本当かは分からないけれど)
  • 基本的に、サッカーはマフィアが絡んでいる。
  • アウェイで のレフェリングは目も当てられない(無論、マフィアが絡むため)。
  • チームはマフィアの機嫌で獲得選手を決められてしまうことがある。
  • ス タジアムを改修すると自動的に1部リーグに昇格することができる。
  • 市長がベンチに座っていて選手交代を指示する。
などなど、にわかには信じがたい内容である。

これらのことを一言で表せば、
「選手は傭兵のような扱い。サッカー の背後には様々に暗躍する人々が蠢いている」
といったところか。
もちろん、この枠をはみ出るほど実績を残せれば問題ない が、現実的にはなかなか難しい。
何故ならレフェリングにも「見えざる手」が働いているからだ。
ゴールがノーゴールになったり、何となしに 退場になってしまったりしたら実績を残せるわけがない。

そんな状況を踏まえて、20歳そこそこの若い選手にはあまりオススメできないリーグだ、とは思った。
数万人単位のサポーターが集まるスタジアムでプレーするのは魅力的ではあるが、
モロモロの「しがらみ」によって色んなことが左右されてしまう現実に対して、
強い精神力がなければ受け入れることは難しいだろうし、
受け入れてしまえば選手としての成長を犠牲にしてしまうこともあるだろう。
結果的に選手としての寿命が短くなることもあるだろうし、リスクはそれなりに大きい。
逆にここのリーグでしっかりと活躍しながら成長できる選手がいれば、
その経験を持ち帰ることで日本サッカーがまた違った「強さ」を手に入れることができるかもしれない。
(念のため。サッカーにマフィアを入れろ、とかではない)

まだまだアジアは奥深い。
とりわけ、一般的なサッカーのアジア開拓はACLを契機に始まったばかりである。
近日中にタイ編、ベトナム編へと続けたい。