Sunday, January 09, 2011

未来予想図。

一昨日と昨日で現在合流している全選手との面談を終えた。
これ、1年の中でも非常に大事な時間である。
(今回の話題は決してサカつく的ではない 笑)

選手たちにとってアルビSの環境は「恵まれている」と思っている。
むしろ恵まれすぎていると思うほどに。
共同生活とは言えプール付きのコンドミニアムに住み、
コンドミニアムから徒歩10分もかからずホームスタジアムがあり、そこで毎日練習をする。
(ちなみにスタジアムはシンガポール唯一の「天然芝・サッカー専用」スタジアムだ)
寮とスタジアムの間には日本食が食べれる「アルビ食堂」があり、毎日腹一杯ご飯を食べてもらう。
さらに年間平均30度という気温は怪我持ちの選手にとってもありがたい環境のようで、
「こっちに来て体が軽いです」なんて言う選手は何人も見てきた。

↓選手たちが住んでいるコンドミニアム。


↓Jurong East Stadium


ところが、逆に言えば恵まれすぎているために、のんびりしてしまう選手も中にはいる。
「寝る→食事→トレーニング(たまに試合)」のループだけで1年間が終わってしまうのだ。
これでは、伸びない。
サッカー選手としても、人間としても。

多くの選手たちがウチに所属するのは1年とか2年の間だけなのである。
選手たちは何のためにここにいるのかと言えば、サッカーをするためである。
だったら空き時間をサッカー「だけ」のために有効に使ってもらいたいのだ。
日本のようにサッカー以外の友人はここにはほとんどいないはずである。
だとすれば、もっともっと自分に向き合える時間が増えるということだ。
忘れてはならないのは、ウチの選手たちは何かが足りないからJリーグでプレーできないのである。
そもそもビハインドがあるのだ。

そんなことはとても重要なことなのだが、言葉で伝えるだけではどうしても弱い。
ここ数年面談や全選手たちの前でそんな話をしてきたのだが、
コレナガの理想とする「意志の強さ」みたいなものは見えてこなかった。
クラブが伝える方法論に問題があるなあ、と。

そんな危機感を持っていたときお馴染みジェブエンターテイメントの田邊さん
選手たちに目的意識を持たせるためにやっている方法をこないだ聞いて、
「それ、ウチでも必要だな」と思って大幅にアレンジを加えて作ってみた。

名付けて「未来予想図」である(ブレーキランプ5回点滅 アルビエスのサイン)。
エクセルに20歳~40歳までが書いてある。
それぞれの年齢別に国、クラブ名、給料、ポジション、イメージ、そのために必要なもの、家族…、
などなど記入欄が並べられている。
選手たちにはムチャクチャ具体的に書くことを要求する。

これはコレナガが20歳のときに「5年後の自分」というのを100個くらい箇条書きにしていって、
見える位置に置いておいて事あるごとに見返していたら、
結果5年後には「オンナ」と「カネ」以外は何となく思い通りになったという成功体験(?)から来ているもので、
夢を文字に起こしてちょくちょく確認をするというのは、かなり大事だと思っている。

応用として選手たちにはこれから先の「最高の」サッカー人生を自分で描いてもらうのである。
○○歳のときにどの国のどのチームでプレーしていて、
どれくらい給料をもらっていて、どういうふうに周りからは思われていて、家族構成はこうなっていて…。
もちろん、数年先の所属先のチームがバルサやマドリーだって問題ない。
不可能なことは文字に書けない。
心理学的には深層心理でそれに対する自信が無意識的にあるはずだ。
できる、と思えばできる。
だからまずは自分のサッカー人生で最高にハッピーな「未来予想図」を作ることが面談のベースとなる。

そして、それを基に面談を始める。
「こうなったら完璧なサッカー人生だよね?だったら、こうするって決めよう。もう○○は25歳のときにこのチームにいる。間違いない。これ、忘れない」

そして、ある選手Aが「ベンフィカでプレーしたいんです」と未来予想図に書いていたとする。
コレナガ「じゃあさ、同じポジションでベンフィカでプレーしたい、もしくはベンフィカからオファーがあったら行くっていう選手は何人くらいいる?もちろん、世界中で。」
A「…。10万人くらいいるかもしれませんね…」
コ「なるほど。10万人ね。それくらいいるかもね。それで今日、何時に起きた?」
A「8時です」
コ「そう。8時ね。ちなみにAは10万人いるうちの何番目の選手?」
A「30,000位くらいですかね…」
コ「なるほど。ベンフィカは1シーズンでそのポジションに何人補強する?」
A「1人~2人ですかね…」
コ「だよね。で、今は30,000位だよね。少なくとも1位~2位にならないとベンフィカ行けないよね?」
A「はい…」
コ「さらに言うけど、例えば2,000位くらいの選手がいたとして、彼が毎日5:30に起きてチームのトレーニングとは別に持久系とか瞬発系とかフィジカルみっちり鍛えていて、それ以外の時間もずーっとサッカーのことだけ考えてたらどうなる?」
A「…。」
コ「Aは離されるよね。ベンフィカ行けないよね?最高のサッカー人生じゃなくなるよね?」
A「はい…」
コ「人生と同じでサッカー人生も1度しかないわけだ。だったら最高のハッピーを目指そうよ。だって夢が叶ったらムチャクチャ嬉しいだろ?」
A「はい」
コ「だから8:00に起きたことを責めるわけじゃない。早起きしろとかそういうことではなく、そうやって自分よりレベルの上の選手がもっともっと努力していること聞くとムチャクチャ焦らない?」
A「…焦ります。」
コ「じゃあこの1年をどうやって過ごせばいいか分かるよね?こうやって自由に使える時間の多いここだからこそ、集中してサッカーに取り組めるんだ。色んなものを犠牲にして海外までプレーしに来ているんだから、人生かけてやらないと。」
A「やります!」

あくまで一例だが、こんな感じで選手たちの目的意識を明確にする。
早い段階でこれをやらないと、先に余計な情報が入ってきたりすると修正が面倒だし、
何より限られた時間である1年間のシーズンを有効に使えなくなる。

もちろんそれぞれの選手には特性があるので、話し方にも工夫が必要だ。
多くの選手がたくさん入れ替わるのでじっくり話すのは初めての選手も中にはいる。
様子を見ながらどの系統の言葉がハートに刺さるのか考えながら話す。
選手との信頼関係構築のためには失敗してはならない面談のため、
かなり精神的に疲れる。
ぶっ続けだし。

でも、選手たちと1対1で話していると色んな発見があって面白い。
  • 軽い感じだけど意外にしっかりしてるな。
  • ヤンチャそうに見えるけど1対1だとおとなしいな。
  • ボーっとしてそうだけど、かなりこっちを観察してるな。
などなど。

中には素晴らしく自立できている選手もいて、
「会社員は給料をもらうために8時間働いているのだから、サッカー選手もそうでなくてはいけないと思います」
なんてことを言っていた。
スバラシイ。

とにかくこんな感じでアルビレックス新潟シンガポールの選手たちとの1年が始まる。
どの選手にも自分の未来予想図どおりのサッカー人生を歩んでもらいたいので、
しっかりとマジメにそれに向かうことのできる選手には全力でサポートする。


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