Sunday, April 30, 2017

日本語で一番詳しい(たぶん)、史上初のシンガポールサッカー協会会長選挙。

昨日、2017年4月29日(土)11:00amから、史上初のシンガポールサッカー協会(FAS)会長選挙が開催された。
貴重な経験をさせてもらったので皆さんにシェアさせていただきたいと思う。

これまではノリというか前任者の白羽の矢、あるいは権力者の傀儡政権的な扱いで会長が決まるサッカー協会も世界にはたくさんあった。「そろそろちゃんとルールに則って会長決めようね…!」とFIFAが指導を強めたことによって、最近になってどこの国でも「史上初のサッカー協会会長選挙」が次々に開催されるようになった。今回のシンガポールもその例に違わず。透明性を持たせるためにFIFAとAFCの職員が数名会場にやってきて監査を行う徹底ぶりである。ちなみに、数年前JFAで行われた会長選挙も同じ流れだ。

投票権を持っているのは、以下の代表者。
・Sリーグ(9)
・National Football League 1部(12)
・National Football League 2部(11)
・女子リーグ、FASが公式に認可したサッカースクール(12)
合計44名である。

となると、必然的に投票権のある日本人は自分だけになるわけで、記念すべき第1回の選挙に参加させてもらったことはとても光栄であるし学びも多かった。


【選挙システム】
・会長と同時に15人の理事(会長含む)を決定する
・会長立候補者は理事候補者を含めて9名でチームを構成し選挙戦に臨む
※理事の定員は15名なので、会長決定後の別の投票で個人立候補者14名の中から6名を選出
・1回目の投票で多い得票者の票数が3分の2を下回れば再投票
・再投票の場合、2回目の投票で過半数を超えれば選出
・投票はABC順
・欠席者ナシ


【立候補者】
《Lim Kia Tong(TEAM LKT)》
FAS副会長
理事を長年務めてきた一人であり、発言力の強いサッカー界の重鎮たちをチームに加えた
温厚な性格だが、オヤジギャグが長い
いわば、保守

《Bill Ng(Game Changer)》
Hougang United会長
ビジネスマンとして知られ、数年前にはプレミアリーグのクラブを買収しようと画策
3つのクラブハウス(カジノ)を運営
いわば、革新

2人とも古くからの友人であるし、酒も呑んだことがあるし、何よりアルビレックスシンガポールを高く評価してくれている。
どちらを選ぶか、実に、実に、難しい。
ひとつ気にしなければならないのは、我々はSリーグで最もグラスルーツや地域・社会貢献などの活動をしているとはいえ、特例措置の異端クラブ。
選挙の結果如何ではクラブの撤退を余儀なくされる可能性もゼロではないだけに、投票する側ながら繊細な気配りが必要だった。
とにかくニュートラルな姿勢を最後まで崩さないようにしよう、とスタッフにも徹底した。


【選挙戦】
あまりにもたくさんありすぎるので全ての流れは割愛するが、この選挙戦の最終的な争点は「マネー」であった。
立候補者双方に警察の捜査が入るという、なんだかよく分からない方向に突き抜けてしまった。
これが世間の注目を浴びたことで最後の1週間はシンガポール国内のトップニュースであり続けるという、注目度の物足りないシンガポールサッカーにとっては何とも皮肉なイベントになってしまった。

《Billの攻撃》
・Billが「2014年にリーグの要請でSGD500,000を寄付したが、それはどこにいったんだ?」とFAS(つまり副会長のKia Tong)を告発
・FASに警察の捜査が入る
・数日後、FASからASEAN FOOTBALL FEDERATIONへの送金記録(きっちりSGD500,000分)が発見される
・また、当時FASからBillへ送られた確認のEmailも発見されたことで、この攻撃は不発となった

《Kia Tongの攻撃》
・FAS側から、Billの運営するクラブハウスに不審なカネの流れがあるとリーク
・クラブハウスが店子となって支払っている家賃が市場の3倍の価格で妻の経営する不動産会社に支払われている
・店員の制服にSGD500,000/年も使っている
・給料を含めたほとんどの支払いを現金で精算している
・Billのクラブハウスに警察の捜査が入る


【選挙結果】
30対13(無効票1)でKia Tongが勝利。
今後4年間、シンガポールサッカー協会会長として辣腕を振るっていただくことになる。

選挙戦開始当初は「発展もなく不透明なシンガポールサッカーを変えろ!」との声が大きく、新鮮さのあるBillが優勢だったようにも見えた。
しかし、やはりクラブハウスマネーの疑惑をBillが払拭できなかったことが大きかった。
追撃の1打と言わんばかりに放った「SGD500,000使途不明金攻撃」が、強烈なカウンターとなって返ってきてしまったのかもしれない。


【雑感】
・世間の注目度が妙に高かった
・Billの疑惑はまだ完全にクロと断定されたわけではないが、今後サッカークラブのクラブハウス運営への締め付けが厳しくなるかも
・NFL、つまりアマチュアクラブの当事者意識が高まる可能性がある
・何せ史上初なので会場はピリピリとした緊張感があったけれど、個人立候補の理事を決める頃にはみんなスマホで写真を撮ったりしてた(ダメだって言われてたのに!)
・ダラダラムードも頂点に達したようで、個人立候補者の選出が1回目で決まらず2回目にもつれる事が発表されると会場からブーイング(みんなお腹減ってたみたい)
・メディアが考えられないくらいいた。迷ったけどスーツで行ってよかった…。


それではまた、4年後!

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